簿記 単純総合原価計算

同じ規格を大量に見込み生産をおこなう企業用の原価計算。
(単純とつくので1種類の製品のみを作ることを前提としている)

種類として、個別原価計算、総合原価計算とある。

勘定連絡図

勘定に製造間接費がないのは、
単純の場合一種類だけを作るのでどの製品か分かるため。

月末仕掛品原価、完成品原価の計算

月末に全て完成した場合(仕掛品がない)
当月投入数量の原価がイコール完成品原価となる。

月末仕掛品がある場合。
仕掛品と完成品は同じ原価としない。仕掛品は作業途中のため原価が低い。
まず材料を準備するため、直接材料費は、仕掛品でも完成品でも同じと考える。
加工費は作業に応じて変わると考え、仕掛品の方が加工費は少ないと考える。

単純総合原価計算では、直接材料費とそれ以外(加工費)の2つに分ける。
直接材料費→直接材料費
間接材料費→加工費
直接労務費→加工費
間接労務費→加工費
直接経費→加工費
間接経費→加工費

例)
1.月末仕掛品原価
2.完成品原価
3.完成品単位原価
の3つを求めることが多い。

生産データを与えられる。
月初仕掛品:0
当月投入量:4
月末仕掛 :2 (加工進捗0.5)
完成品  :2

原価データを与えられる。

月初仕掛、直接材料:0
月初仕掛、加工費 :0
当月投入、直接材料:1200
当月投入、加工費 :600

材料は始点投入。

計算方法

先ずボックス図を書く。
進捗度をかけて、完成品換算数量にする。

月末仕掛品原価=800
完成品原価  =1000
完成品単位原価=500(1000/2)

仕掛品の総勘定元帳

T仕掛品)
前月繰越 0   | 製品   1000
材料   1200 | 次月繰越 800
加工費  600

月初仕掛品がある場合の計算方法

平均法と先入先出法がある。

平均法
月初仕掛品原価と当月投入原価で平均を出す。

例)
生産データ
月初仕掛品 100 (0.2)
当月投入 150
月末仕掛 50 (0.8)
完成品 200

原価データ
直接材料費 | 加工費
月初仕掛品 2670 | 540
当月投入 4080 | 7260

月末仕掛品原価=2650
完成品原価=11900
完成品単位原価=59.5

先入先出法の場合(例は同じ条件)

月末仕掛品原価=2680
完成品原価=11870
完成品単位原価=59.35

直接材料の投入方法

始点で投入
製造を開始する段階で材料が全て揃うこと。これがメイン。

平均的に投入
工程の進行とともに平均的に投入されていく。
違いは、加工費と同じく完成品換算量の計算が必要。

特定点で投入
月末仕掛品が投入点を通過しているかどうかで判断。

終点で投入
終点で投入する場合は完成品のみに含めて計算する。
月末仕掛品に含めない。

減損

蒸発などに原材料の一部が消失してしまうこと、あるいは無価値な部分が発生してしまうこと。

正常減損
通常発生する程度の減損。減損した費用は正常減損費として良品の原価に含める。

どこで発生したかによって完成費原価か仕掛品か判断する。
完成品のみ負担、両者負担、のどちらか。

完成品のみ負担
正常減損が、工程の終点あるいは仕掛品の加工進捗度より後の場合、完成品のみ負担となる。

両者負担
逆に正常減損が仕掛品の加工進捗より前で発生したら両者負担となる。

例)

生産データ
月初仕掛品 0
当月投入 10
減損 1
月末仕掛品 3 (0.2)
完成品 6
材料投入点 始点投入
減損発生地点 0.7

原価データ (材料費|加工費)
月初仕掛品 0
当月投入 2700

今回は、仕掛品が発生地点の手前なので、完成品のみ負担。

月末仕掛品原料費 810
完成品原料費 1890 (1620+270)

例)
生産データ
月初仕掛品 0
当月投入 10
減損 1
月末仕掛品 3 (0.8)
完成品 6
材料投入点 始点投入
減損発生地点 0.5

原価データ (材料費|加工費)
月初仕掛品 0
当月投入 2700

今回は、仕掛品が発生地点の後なので、両者負担。
両者負担は減損のボックスを消すだけ。

月末仕掛品原料費 900
完成品原料費 1800

減損で月初仕掛品がある場合(平均法)

例)
生産データ
月初仕掛品 100(0.2)
当月投入 170
減損 20
月末仕掛品 50(0.8)
完成品 200
材料投入点 始点投入
減損発生地点 終点

原価データ (材料費|加工費)
月初仕掛品 2670 | 540
当月投入 4080 | 7260

今回は、減損発生地点が終点なので完成品のみ負担。

月末仕掛品原価 2450
完成品原価 12100
完成品単位原価 60.5

例)
月初仕掛品 100 (0.2)
当月投入 170
減損 20
月末仕掛 50 (0.8)
完成品 200

材料 始点投入
減損地点 0.5

原価データ(直接材料 | 加工費)
月初仕掛品 2670 | 540
当月投入 4080 | 7260

減損地点を仕掛品が過ぎているので両者負担。

月末仕掛品原価 2650
完成品原価 11900
完成品単位原価 59.5

減損で月初仕掛品がある場合(先入先出法)

減損は当月投入分のみから生じている。

先入先出法で完成品のみ負担。

例)
月初仕掛品 100 (0.2)
当月投入 170
減損 20
月末仕掛 50 (0.8)
完成品 200

材料 始点投入
減損地点 終点

原価データ(直接材料 | 加工費)
月初仕掛品 2670 | 540
当月投入 4080 | 7260

完成品のみ負担

月末仕掛品原価 2410
完成品原価 12140
完成品単位原価 60.7

先入先出法で両者負担

例)
月初仕掛品 100 (0.2)
当月投入 170
減損 20
月末仕掛 50 (0.8)
完成品 200

材料 始点投入
減損地点 0.5

原価データ(直接材料 | 加工費)
月初仕掛品 2670 | 540
当月投入 4080 | 7260

両者負担

月末仕掛品原価 2680
完成品原価 11870
完成品単位原価 59.35

仕損

失敗等の不合格品(仕損品)のこと。
減損は形がない。仕損は形があると考える。

補修したりして回復しない前提なので、ある程度仕損は発生する前提。この仕損を正常仕損という。
正常仕損は原価に含める。減損と同じ処理。

ただ、仕損品が売却できる場合があり、これを仕損品評価額とする点が大きな違い。
(かかった原価をいくらか減らせるということ)

完成品のみの場合

通常通り減損の処理をして、最後に完成品原価から正常仕損品評価額をマイナスする。

例)
生産データ
・月初仕掛品 100(0.2)
・当月投入 170
・仕損 20
・月末仕掛品 50(0.8)
・完成品 200

・材料 始点投入
・仕損 終点発生
・仕損 30

原価データ(材料|加工)
・月初仕掛品 2670 | 540
・当月投入 4080 | 7260

正常仕損品の評価額=30*20=600

・月末仕掛品原価 2450
・完成品原価(ここから仕損評価額を引く) = 12100-600 = 11500
・完成品単位原価 57.5

両者負担の場合

当月投入原価から正常仕損品評価額をマイナスしてから、
月末仕掛品原価、完成品原価を計算する。

例)
生産データ
・月初仕掛品 100(0.2)
・当月投入 170
・仕損 20
・月末仕掛品 50(0.8)
・完成品 200

・材料 始点投入
・仕損発生 0.5
・仕損 30(材料費で控除)

原価データ(材料|加工)
・月初仕掛品 2670 | 540
・当月投入 4080 | 7260

正常仕損品の評価額=30*20=600

・月末仕掛品原価 2530
・完成品原価 11420
・完成品単位原価 57.1